申し訳ありません。久々の更新です。
今回は日本の建築にはなくてはならない素材「畳」の話題を。
先日、以前からお世話になっているビルオーナーの茶室の畳張替のご相談を受けました。
都会のど真ん中のビルの一室にひっそりと佇むこの茶室、間取り、素材共全てが選び抜かれたもので、当然畳だってそんじょそこらのものと違います。
畳の厚みも厚く、重さも半端じゃありません。
「小櫻君、これが本物の畳だよ・・・」
オーナーも嬉しそうに語ってくれます。
畳とひと言で言っても、非常に奥が深く、畳表はもちろん、畳床から縁に至るまでこだわればキリがありません。
今回、最も苦労したのは、長年お世話になっていた畳職人さんが高齢で頼めなくなり、代わりの職人さんを探さなくてはならなかったこと。
オーナー曰く「この畳をやれる職人はなかなかいないんだよ・・・本当に困ったよ・・・」
あらゆるネットワークを駆使し、ようやく安心してお願いできる職人さんにめぐりあう事が出来ました。
80年近く続けられている畳屋さんで、今回の趣旨をご理解頂き、気持ちよく引き受けて頂きました。
今回の仕事を通じ、職人さんから畳に関する色々な話を聞くことが出来ましたが、現在、畳を取り巻く環境は想像以上に深刻です。
最も気になるのは国産のい草が無くなりつつあること。
有名な備後畳はほぼ絶滅状態で熊本の肥後畳もあと何年続くか?といった状況。
じゃ今後は中国製?と思いきや、い草は手間がかかり、儲からないから今や中国も敬遠しつつあると。
東南アジアあたりが頼みの綱で、それも無くなるとこの世から畳が無くなってしまうかも?
職人さんも寂しそうにつぶやいていました。
「センセ…日本人はやっぱ畳だよ。最近は皆さん手入れが面倒とかで敬遠するけど、良い畳って簡単な手入れで何年も使えるんだよ。」
確かに。
靴を脱いでフローリングの上をスリッパで歩くより、畳の上を裸足で歩く方がはるかに気持ち良いし、畳の上でゴロ寝するときの気持ちよさと言ったら・・・。
そんな事もあって最近住宅の設計やリフォームでも畳を提案することが多いのですが今ひとつ受け入れて頂けないのが現実。
貴重な国産畳を存続させるためにも、日本人が培ってきた畳の本当の心地よさを忘れないためにも、畳の良さを今後もアピールし続けていきたいと思います。
畳敷きアパートなんてどうでしょ?
即却下?
個人的には良いと思うんだけどなあ・・・
畳
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